10月21日(土)に、明日の教室デュオセミナーが開催されました。
野口芳宏先生と堀裕嗣先生をお迎えして、3部制のセミナーとして実施されました。
「国語教育を愉しむ」というテーマでお話いただきましたが、その際の様子をお知らせいたします。
「明日の教室」デュオセミナー第3回 開催報告
デュオセミナー開催のご報告
セミナーの様子(レポート:立命館小学校 吉川裕子先生)
10月21日(土)野口芳宏先生・堀裕嗣先生を講師に「国語教育を愉しむ」というテーマで
明日の教室デュオセミナーが行われました。
感動を言葉にすることが難しいのですが、簡単にまとめてみます。
野口芳宏先生 | 堀裕嗣先生 |
(撮影:平井良信)
テーマ1「授業を愉しむ(模擬授業)」
野口先生の授業は俳句の授業です。
選択的発問、すべての発問の答えをノートに書かせることで全員参加の授業になること、
常時全員参加を保障すること、向上的変容を連続的に保障すること、正誤をはっきりさせること、
という数々の野口先生の主張が、具体的な授業の場面で示されました。
「間違い」を指摘されても、「分からないところが分かるようになってよかった」
「今日来てよかった」と言われると、本当にそうだな、という気持ちになってきます。
短く・的確に話すこと、根拠は本文に、ということもいざ実践しようとすると難しいものです。
25分の模擬授業の中に、様々な要素が凝縮されていました。
堀先生は、「朝焼けの中で」という森崎和江の文を題材にした模擬授業でした。
「それ」と言う指示語が何を指し示すか、10字→20字→40字で答える、
さらに主想を大切な順にランキングするという内容です。
途中に交流活動が入るのですが、「指示語は分かるぞ!」と意気揚々と答えても、
まわりの方の答えを聞いていると自分の答えに自信がなくなりました。
その後、堀先生がポイントを説明されると、
捉え方の違いが答えのずれにつながっていたことに気づきます。
野口先生、堀先生、池田先生の鼎談の中では、板書のあり方や二価対立のあり方などが話題になりました。
「読解力とは、表現に即した解釈力」「適切な指摘力」である、引用した上で解釈する、
短く引用することの難しさなど、短時間に本当に多くの内容を教えていただきました。
野口芳宏先生
(撮影:平井良信)
テーマ2「教材研究を愉しむ」
野口先生は、素材研究の大切さについて語られました。
初任の小学校時代、全員で教材文を読み、主題は何かを議論したお話、
千葉大学付属小学校時代、小説を読む時間がなかったので、
PTAのサークルで文学読書会を毎月続けられたお話から、
正誤をはっきりさせるためには正しい答えを教師が持っていなければならない、
そのためには教材研究の前の素材研究が大切だということが語られました。
堀先生は、俵万智の教材文と先ほど読んだ森崎和江の文を比べ、
「経験は言葉より広い」のか「言葉は経験より広い」のかという「問い」を提示されました。
考えるに足るテーマであり、もしかしたら人生のテーマになるかもしれないような問いを
いくつ提示できるかが大切なのだということです。
『ぽちのきたうみ』という絵本から、
登場人物にある言葉を語らせているのは何かを考えることで物語は立体的に見えてくる、
という教材研究の肝を教えてくださいました。
鼎談は、「教師面をして読んでしまうことから逃げられない」という池田先生のお話から始まりました。
堀先生も野口先生も教えるために読むことは文学の楽しみではないとおっしゃいます。
自分一人の力ではなく、サークル、勉強会を持って違う考えの人と話し合う経験が大切であるということについて
三人のお考えは一致しました。
左から池田修先生、野口芳宏先生、堀裕嗣先生
(撮影:平井良信)
テーマ3「苦手な国語領域を愉しむ」
野口先生は、「書道克服記」。お若いころ、書道を習われたお話でした。
先生が何気なく話された言葉が心に残っていると話されました。
私の心に残ったのは、
「楔を打って隙間を作り、時間を生み出し、字を書く練習を続ける」というお話です。
毎日15分、時間がないときは10分でも筆を持たない日はなかったそうですが、
時間を作るために楔を打つ、という表現が心に残りました。
野口先生の語り口と共に師に学ぶことの大切さが伝わってきました。
堀先生はさだまさしの曲「療養所」を使った模擬授業でした。
道徳の授業ですが、この授業をどのように作られたかを語られ、
最後に、「あなたの授業づくりはあなたの人生としっかりつながっていますか。」と問われました。
鼎談では、問題を克服するために、課題に変えて行動すること、
師匠を得るには、などの話題が出ました。
やはり、自分とつなげなければ仕事は面白くない、
「自分らしい教師」としてあるための授業づくりをしていくことが、
教材研究を愉しみ、苦手を克服するために必要なのだ、と感じるセミナーでした。
堀裕嗣先生
(撮影:平井良信)