保田與重郎 関連書籍
保田與重郎を知る
長く待望された保田與重郎の入門書がついに誕生。
保田與重郎の文学思想の理解に新たな道筋を拓く批評家・前田英樹氏が、平易な語り口で書き下ろした1冊。
附録として生誕100年を記念して製作された『自然に生きる―保田與重郎の「日本」』のDVDが付く。保田が一貫して誌しつづけた「日本」の姿を、1年半をかけて撮影した美しい映像で描き出す本格評伝映像。
ISBNコード | 978-4-7868-0186-0 |
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価格(税込) | 3,080円 |
前田英樹氏書き下ろしの『保田與重郎を知る』は、保田の人生を紹介する第一章「生涯」、主要作品を順を追って解説する第二章「文業」、そして保田の文学思想を「自然」をキイワードに丁寧に解き明かす第三章「『自然』の思想」の三章立て。
さらに、その膨大な作品群から前田氏みずから珠玉の文章を選んだ「保田與重郎選文集」や「保田與重郎略年譜」も付いています。
保田文学を読むための格好のガイドブック。
- 批評家 前田 英樹(まえだ ひでき)
- 昭和26年大阪生。中央大学大学院文学研究科修了。
専攻はフランス思想、言語論。批評の対象は,映画、絵画、文学、思想、武術と広範にわたる。
主な著書に『独学の精神』(ちくま新書)『倫理という力』(講談社現代新書)『宮本武蔵 剣と思想』(ちくま文庫)『小津安二郎の家』(書肆山田)『セザンヌ 画家のメチエ』(以上、青土社)『絵画の二十世紀』(NHKブックス)『信徒内村鑑三』(河出書房新社)『在るものの魅惑』(現代思潮社)『民族と民藝』(講談社)等多数。新陰流剣術の遣い手としても知られ、「新陰流・武術探求会」を主宰。令和5年、広大な保田文学に真正面から取り組んだ『保田與重郎の文学』(新潮社)を刊行。
付属DVD
我が国の歩むべき道とは、そして私たちが失った本当の暮らしとは――。
昭和の文人保田與重郎の「暮らしの思想」を映像化し、現代に問いかける。
保田與重郎生誕100年記念映像
日本浪曼派を率いて近代日本文学史に一時代を画した、文芸評論家・保田與重郎。
しかし保田が、その卓絶した古典思想により一貫して我が国の歩むべき道を語り続けた文明思想家であったことは余り知られていません。
保田は、延喜式祝詞や古事記、日本書紀、古語拾遺などの古典を注釈し我が国固有の道を究明した本居宣長をはじめとする近世国学に深く学び、その業績を結晶化するかのように、かつて誰も為しえなかった本質的な「日本」論を構想しました。
保田は言います、我が国は古来より「米作りによる祭りの暮らし」を営んでいるが、その暮らしこそが建国の理想そのものであり、日本及び日本人の永遠を約束 する。その暮らしは日本人の道徳の基盤であり、さらに、戦争という観念さえ生じない絶対平和の根拠である、と。
『自然かむながらに生きる―保田與重郎の「日本」』は、保田のこの「暮らしの思想」を四季折々の美しい風景のなかに描き出し、その意味を現代に問いかける映像作品です。
監修は、近年保田與重郎への関心を深め、かつてない新しい保田論を展開する立教大学教授で気鋭の批評家・前田英樹氏。そして構成・演出は、同大学教授でドキュメンタリー映像界の鬼才・佐藤一彦氏。撮影は、ベテラン・本田茂氏。
1年半をかけ、保田の故郷でありその文学を育んだ母胎・奈良県の桜井市や明日香村を中心に、折々の米作りの風景やそれに伴う祭事、そして保田文学ゆかりの史跡などを撮影。桜井市に現存する保田の生家や終の棲家となった京都の保田邸「身余堂」も撮影しました。
近年みずから農に従事、農業復興のために精力的に活動する俳優の菅原文太氏も特別出演。また、ナレーションは生前保田と親交のあった女優の檀ふみ氏、朗読 は元NHKアナウンサーの草柳隆三氏、音楽は作曲家でヴァイオリニストのツルノリヒロ氏がつとめています。
私の保田與重郎
ゆかりある各界172名により描き出される 文人 保田與重郎の風貌
日本浪曼派を率いて戦前の青年層に多大な影響を与え、戦後も一切志を変えることなく孤高の道を歩んだ、文芸評論家・保田與重郎。
本書は既刊の保田與重郎全集や保田與重郎文庫などの月報・解説を集成、ゆかりある総勢172名の多彩なエッセイにより、いまだ謎めいたその人となりをあざやかに浮き彫りにする待望の一冊。保田夫人の回想記も収録。
時に本居宣長の再来とも称される稀代の文人・保田與重郎の魅力を知るための、格好の書。
ISBNコード | 978-4-7868-0186-0 |
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価格(税込) | 3,080円 |
執筆者(一部)
檀一雄 田中克己 萩原葉子 神保光太郎 五味康祐 谷崎昭男 村上一郎 棟方志功 中谷孝雄 須田剋太 樋口清之 桶谷秀昭 寺田英視 松本健一 川村二郎 浅野晃 井上義夫 磯田光一 塚本邦雄 野田又夫 岡野弘彦 高橋義孝 幡掛正浩 伊藤桂一 小島千加子 川村湊 世耕政隆 麿赤児 真鍋呉夫 長部日出雄 高橋英夫 ヴルピッタ・ロマノ 杉本秀太郎 饗庭孝男 中河與一 林富士馬 清水文雄 亀和田武 道浦母都子 野口武彦 保田仁一郎 渡部昇一 平澤興 佐伯裕子 山川京子 山城むつみ 久世光彦 新保祐司 前川佐重郎 坪内祐三 佐伯彰一 富岡幸一郎 保田典子 ほか
内容紹介(一部抜粋)
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昭和二十八年芥川賞をうけたとき、自分は日本浪曼派の落し子であると私は言った。保田與重郎氏に私淑してきたとも書いた。これを載せる雑誌の編輯子が「五味さん、こんなこと書いたらあなた損ですよ、 悪(にく)まれますよ」真顔で忠告(?)してくれたのをおぼえている。ちっとも構わない、事実を 枉(ま)げるわけにはゆかないでしょうと私は笑った。
五味康祐(作家)
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ドウイフ 理由(ワケ)カ解ラナイケレドモ保田與重郎氏ヲオモフト― 青葉の笛―ヲ感ジルノデス。ナンダカメツサウモナク、サウナツテ来ルンデス。 平(タヒラ)一族中ノ若公達、敦盛公ガ愛持、シタトイフコノ名笛ト、保田與重郎氏トハ事デ言ヘバ、何モ関連ガアリマセンモノヲ、サウ想ヒ合ハセル事ガ、オカシイデセウ、ケレドモ、ワタクシニハ、ホンタウニ必然デスカラ、マタ絶対ニ大事ナ――想ヒ――デスカラ仕方アリマセンデス。
棟方志功(板画家)
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汽車が動き出すと自分も一緒について走りながら見送つてくれた姿を未だに覚えてゐる。私は一人列車にゆられ乍らこの数日のさまざまの事柄を思ひ浮べてお礼の手紙を書き出した。そのうちに列車のひびきのリズムにだんだん胸が一杯になり泪がポタポタと落ちてきた。茫とした気持で列車が京都駅へ着いた時全く思ひがけなく、列車内宛の保田からの電報を受取つた。「カヘリハソラモクモツテル』ヨ」と。読んだ瞬間私はじーんと心に沁みてゆくものを感じた。そしてあとからあとから泪があふれて来るのだつた。
保田典子(歌人)
保田與重郎の暮らし
写真家・水野克比古は描きだす文人のくらしの陰影
昭和の文人保田與重郎の私邸を、京を撮って名高い写真家水野克比古が三年をかけて撮影。
昭和最高の美意識によって成った文人の棲み家の全貌を、ゆたかな詩情で写した文芸アルバム。
ISBNコード | 978-4-7868-0163-1 |
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価格(税込) | 4,400円 |
戦中戦後と一貫して志を変えず、孤高の文人として日本の美と歴史を語りつづけた文芸評論家保田與重郎(やすだよじゅうろう 明治43年~昭和56年)。
保田與重郎は昭和33年、王朝ゆかりの景勝地である京都の鳴瀧に山荘を構え「身余堂(しんよどう)」と命名、そこを終の棲み家として、文人伝統の志操と風儀を守りつづけた。
身余堂は、建物から什器一切まで、陶芸界の巨匠河井寛次郎の高弟であった陶工上田恆次(うえだつねじ)の制作設計になる。民家のもつ重厚と洗練した造形美をあわせもつ名建築であり、かの佐藤春夫は「そのすみかを以て詩人と認める」として、東の詩仙堂と並べて「西の身余堂」と絶賛した。それを伝え聞いた川端康成は、「詩仙堂よりも保田邸のほうがずっと優れている」と断じたという。
本書『保田與重郎のくらし―京都・身余堂の四季』は、これまでひそかに語りつがれてきた名邸身余堂の全貌を、写真界の第一人者である水野克比古の作品を中心にひろく紹介する一冊。保田夫人をはじめ、ゆかりの人々の文章も併せて収載。
規範国語読本
『国家の品格』の著者、藤原正彦先生も推薦
佐藤春夫と保田與重郎という稀有のコンビが選んだ、明治人の手になる芳醇な作品群に、読む人は胸を揺さぶられるだろう。
そして日本の文化遺産の素晴らしさに心打たれるだろう。本書を中高生向きにとどめてはもったいない。
全国文向けの国語読本であれ。(帯文章より)
新装版に寄せて
『規範国語読本』は、教育図書出版社である小社が昭和38年、中学校国語の副教材として刊行し、当時国語力の低下を憂慮していた全国の心ある先生方から支持されました。
本書は、昭和を代表する文芸評論家保田與重郎が作品選定から解説にいたるまで、すべてをみずから行ないました。そして監修は、その師であった文豪佐藤春夫がすすんで引き受けたのです。
国語の真髄やその美しさを知りつくしたこの二人の文学者が、国語力・読書力を養い、さらに日本人としての情緒・情操を育成するためには何が必要かを真剣に考え、出来上がったのがこの『規範国語読本』です。
国民的な教養や、国語力・読書力の低下がさらに深刻な問題となっている現在、この最高峰の文学者による国語読本を、装も新たに再び世にわかつことにいたしました。新装版にあたって、できるだけ初版当初の雰囲気を残そうと、収録作品や解説も当時のものをそのまま復元しています。
ISBNコード | 978-4-7868-0171-6 |
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価格(税込) | 1,320円 |
国語のテキストとして
国語教科書・国語読本として、中高生は勿論、大学教養課程や生涯教育のテキストに最適です。
教養書として
日本人として必要な歴史感覚と歴史に関する知識、教養を身につけることができる内容となっています。
文芸書として
情緒・情操を養うような名作が選ばれています。
内容
- 春の朝 … ロバート・ブラウニング/上田敏 訳
- 過ぎ去った今 … 河井寛次郎
- 日本語の美しさ … 佐藤春夫
- 「イーリアス」を訳し終えて … 土井晩翠
- 奈良日記 … エルヴィン・ベルツ
- 行春(ゆくはる) … 芭蕉
- 田植えの季節に思う … 津田左右吉
- 暮らしと文明 … 長谷川如是閑
- 立山の賦 … 大伴家持
- 京の祭り … 吉井勇
- 鳥を追うことば … 早川孝太郎
- 国原(くにはら) … 伊藤左千夫
- 北里先生のことども … 志賀潔
- 中江藤樹 … 内村鑑三
- 夜明け前 … 島崎藤村
- 阿部一族 … 森鷗外
- 文芸における道徳性の本質 … 萩原朔太郎
- 今様(いまよう) … 二川相近
- 単騎遠征 … 福島安正
- 航海日記 … 村垣淡路守範正
花のなごり
20代初めに保田與重郎の門をたたき、折りにふれて謦咳に接してきた著者が、自ら生まれた保田についての文章を集めた信実の書。
他に保田及び日本浪曼派に近しい文学者とその仕事に言及したエッセイも併録。
ISBNコード | 4-7868-0021-X |
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価格(税込) | 2,420円 |
主な内容
- 一つの肖像画による保田與重郎論
- 「日本の橋」小論
- 人工と自然
- 「みやらびあはれ」註
- 花のなごり――保田與重郎の桜
- 文学という思想について――保田與重郎と戦争
- ふたつの死――川端康成と三島由紀夫
- 三島由紀夫
- 「退屈」の造型について
- 古木春哉の仕事
- 畸人伝中の人
- 女性史研究について感想
- ツルのように
集成 落柿舎十一世庵主 工藤芝蘭子
荒廃した落柿舎の戦後の再建者である相場師工藤が、私財を投げ打って落柿舎と共に歩む晩年の俳句人生を描く。
芝蘭子の句集・遺稿なども収録し、資料的価値も高い書。
ISBNコード | 4-7868-0013-9 |
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価格(税込) | 2,095円 |
主な内容
- 序 … 伊藤桂一
- 芝蘭子を悼む … 保田與重郎
- 芝蘭子句集 … 工藤芝蘭子
- 芝蘭子さん … 柳井道弘
- 芝蘭子宗匠-その俳句と生活- … 早川幾忠
- 工藤芝蘭子遺稿
- 工藤芝蘭子略年譜 … 近藤蕉肝